戦争の記憶をたどる旅。クウェー川鉄橋とカンチャナブリーの歴史を歩く

アジア

・バンコクからカンチャナブリーへ!アクセス方法と移動ガイド
・歴史を学ぶ旅の始まり:戦時中の記憶を伝えるJEATH戦争博物館
・無数の犠牲者を悼む場所:カンチャナブリー慰霊碑
・「戦場にかける橋」の舞台へ:クウェー川鉄橋を渡る

※2025年7月時点の情報
※1THB(タイバーツ)=約5円

 1957年のアカデミー賞作品賞を受賞した名作「戦場にかける橋」についてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。かなり昔の映画ですので、見たことがないという人も、映画の名前は聞いたことがあるという人も、いらっしゃるかもしれません。
 映画は、タイとビルマ(現ミャンマー)の国境地帯で、占領していた日本軍と捕虜となっていたイギリス人の対立や人間の尊厳について表現した名作なのですが、この映画「戦場にかける橋」の舞台となっているのが、カンチャナブリーという町なんです。
 バンコクから訪れやすい場所にあり、市内にも郊外にもたくさん訪れるべき場所がある町です!今回はそのカンチャナブリーについて、アクセス方法や市内の情報などをご紹介できればと思います。
 カンチャナブリーの郊外については、別の記事で紹介をしておりますので、ご興味がございましたら、下記のリンク先の記事をご参照ください。

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①カンチャナブリーへのアクセスは、ミニバスのロットゥーがオススメ!

 前述したとおり、カンチャナブリーはバンコクから比較的近く、簡単に訪れることができる都市です。個人的には宿泊しての滞在をオススメしますが、頑張ればバンコクから日帰りも可能ですので、滞在日数に制限がある方などでも訪問をご検討いただけるかと思います。
 カンチャナブリーへのアクセスは、鉄道駅もあるものの、便数も限定されているため、北バスターミナル近くのモーチット2(Mo Chit2)と呼ばれるミニバスターミナルから、ミニバスを利用することをおすすめします。
 運賃は130THB(約650円)で、約2時間半でカンチャナブリーのバスターミナルに到着します。私は今回はアユタヤからモーチット2乗り継ぎでカンチャナブリーまで、待ち時間込みで5時間半程度で移動しました。
 アユタヤからは、ピークシーズンなどには600THB(約3,000円)で、直接カンチャナブリーまで行くツーリストバスが出ていますので、ピークシーズンに移動を検討している方は、アユタヤのホテルや旅行会社で確認をすると効率よく移動ができるかと思います。
 途中でトイレ休憩等はないため、ミニバスターミナルのトイレを忘れずにご利用ください。
 車内の座席については、チケットには特に記載はありませんが、ドライバーさんから指定されるため、指定された席に座ります。
 カンチャナブリーのホテル街は2つあり、1つはバスターミナル周辺、もう1つはバスターミナルから西に3kmほどいったクウェー・ヤイ川(Mae Nam Kwae Yai)沿いとなります。
 移動の便利さを優先するのであれば、バスターミナル周辺、観光地の雰囲気を味わいたいのであれば、クウェー・ヤイ川周辺に宿をとるとよいと思います。今回、私は他の町への移動の利便性を優先して、バスターミナルの裏に宿を取りました。
 ミニバスターミナルへの行き方やチケット売り場などの詳細は、下記のリンク先のアユタヤの記事で記載しておりますので、ご参照くださいませ。

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カンチャナブリー バスターミナル

②太平洋戦争を学ぶ。カンチャナブリー市内の追悼と記憶の場所を紹介

 次にカンチャナブリーの市内の訪れるべき、追悼と記憶の場所について、ご紹介をさせていただきます。なぜ「観光地」ではなく、「追悼と記憶の場所」と書いたかというと、全くもって個人的な感覚のためです。
 市内の見どころは、すべて太平洋戦争時代に日本帝国が占領支配していた時代の場所であり、戦争についての意見は人それぞれではあるものの、「日本が捕虜や地元民を傷つけたこと」についての場所や展示のため、なんとなく日本人の私が気軽に「観光地」と呼んでよいものだろうかと思い、若干周りくどいかもしれませんが、「追悼と記憶の場所」と記載させていただきました。

A. JEATH戦争博物館(JEATH War Museum)

 博物館の場所は、バスターミナルから南東にあるワット・チャイチュムポン(Wat Chaichumphon)という寺院と道を挟んで反対側の川沿いにあります。
 入場料は50THB(約250円)で、朝の8時から入場が可能になります。実際には8時より少し前にすでにチケット売り場に係員の方がいらっしゃったので、少し早く中に入ることができました。
 非常にまぎらわしいのですが、クウェー・ヤイ川近くのMae Nam Kwai Roadの慰霊碑近くに、同じくJEATH War Museumと看板を掲げている場所がありますが、そこは全く関係のない場所ですので、間違いのないように注意が必要です。
 まず初めに、なぜ「JEATH」という名前なのか?というところが気になるかと思います。名前の由来は、日本軍が進めていた、捕虜を利用しての泰緬鉄道の建設に関わった国の名前の頭文字を取ったものとなっています。
 Jが日本、Eがイギリス、Aがオーストラリア、Tがタイ、Hがオランダを表していると言われてます。
 ただし、これも実は後になってのこじつけでして、もともとは死を意味する「DEATH戦争博物館」という名称にする予定であったものの、名前のひびきが強すぎる、ということで急遽変更が加えられたと言われています。
 Sectionは2つに分かれており、中では写真や動画の撮影は禁止となっております。Section1はU字型の建物で、捕虜の生活や虐待を描いた絵画、捕虜が利用していた道具、写真などが飾られています。
 U時の間にある建物がSection2で、日本軍の武器や兵器などの展示が中心となっております。英語のVTRを見れる場所も左側にあります。
 すべて心がギュッとなる展示物ばかりなのですが、道なりに進むと1番最後に見るであろうSection2の奥の壁に書かれていた「Forgive but not forget」(許す、でも忘れない)という言葉が日本人として非常に重く感じて、一日中頭の中から離れませんでした。
※泰緬鉄道とはタイとミャンマーを通る鉄道で太平洋戦争時に日本軍が捕虜を利用して敷設した鉄道です。非常に過酷な地理条件・労働条件のため、たくさんの捕虜が亡くなりました。

JEATH戦争博物館 入り口

B. カンチャナブリー慰霊碑

 泰緬鉄道の建設における労働でなくなった人々の霊を慰めるために1944年2月に日本軍が建てた慰霊碑です。入場料は無料です。入り口のトビラが閉まっている場合もありますが、押せば簡単に開いて、入場も可能です。
 クウェー川鉄橋のすぐ近くの場所にあり、観光客も絶えずたくさんいる地域ではあるのですが、慰霊碑のある公園はいつもひっそりとしております。
 クウェー川鉄橋を見学する際に、ぜひお立ち寄りいただき、少しの間、お祈りをしていただくとよいかと思います。

カンチャナブリー慰霊碑

C. クウェー川鉄橋(River Kwae Bridge)

 カンチャナブリーで1番観光客が集まる場所が、このクウェー川鉄橋です。名作「戦場にかける橋」の舞台となり、一躍世界的に有名になった場所です。
 カンチャナブリーを訪れた観光客は、ほぼ全員訪れるのではないでしょうか?
 この橋の特徴は、線路のある橋に人が普通に歩いて渡れるという点につきるのではないでしょうか。ですが、この橋は観光用の橋ではなく、現役の橋として列車が走ってきますので、見学中は要注意です。橋の途中に列車を避けるスペースがありますので、万が一の時はすぐにそこまで避難をしてください。
 橋の一部は、幅が狭くなったり、落下防止の柵などがない場所がありますので、気をつけて進んでください。対岸に渡ると右側に寺院などがあったり、小さな村があったりしますので、散策をするのもおもしろいです。
 文字にすると、「ただ橋を歩いて渡れる場所」ではあるのですが、それがとても新鮮な体験!と感じる場所です!

クウェー川鉄橋 遠景
クウェー川鉄橋 遠景
クウェー川鉄橋駅
歩いて渡れる鉄橋
鉄橋上の避難スペース
クウェー・ヤイ川の対岸
クウェー・ヤイ川の対岸にある寺院
鉄橋の落下防止柵がない部分
鉄橋の対岸側
対岸から見た鉄橋の開始する部分
駅に展示してある機関車
駅に展示してある機関車

③まとめ

 今回は、太平洋戦争の歴史と記憶の残るカンチャナブリーを紹介いたしました。単純に旅行先としても魅力的な町ではありますが、やはり日本人として訪れた方がいい、と感じる場所でした。
 それほどバンコクから離れた場所ではないため、比較的訪れやすい町の1つかな、と思いますので、可能であれば皆さんのタイ旅行の旅程の1つに、このカンチャナブリーも加えていただけるとうれしいです!
 町は観光客も比較的多く、観光客が使いやすいレストランや宿などもたくさんありますので、滞在中に不便さを感じることもないかと思います!
 町の雰囲気も大都会のバンコクとは違い、少しゆったりとした時間が流れている地方都市ですので、よりリラックスができるのではないでしょうか?