スイスは自然だけじゃない!歴史と湖が織りなすスイス中部の宝石「ルツェルン」の魅力

スイス

・スイスの中心に位置!チューリッヒやインターラーケンなど主要都市からのアクセスも抜群
・自然景観だけじゃない!スイス都市観光の魅力
・徒歩での観光も簡単!コンパクトにまとまった観光都市
・ロイス川に架かるヨーロッパ最古の木造橋、カペル橋と旧市街のタイムトリップ散策

※2025年6月時点の情報
※1CHF(スイスフラン)=約185円

 スイス観光のイメージというと、マッターホルンやモンブラン、ユングフラウなどのアルプスの名峰やツェルマット、サンモリッツなどの山岳リゾートをイメージする方も多いのではないでしょうか。
 確かにスイス観光の花形は美しい自然景観や快適に過ごせる山岳リゾートであるのは間違いありません。
 あまり印象はないかもしれませんが、スイスは1291年に独立して、700年以上もの歴史がある由緒正しい国でもあります。小さな国土の中にいくつもの中世の美しい街並みが残っておりますが、なんといってもおすすめは今回ご案内するルツェルンです!
 中々スポットの当たりづらいスイスの都市観光の魅力をお伝えできればと思っております。

①アクセス抜群!国土の真ん中に位置する観光都市ルツェルン

 ルツェルンがおすすめの理由の1つとして、国土の真ん中付近に位置しているため、色々な都市からのアクセスが非常に良い点があります。
 例えば、主要都市からの電車での所要時間は、チューリッヒから40分、ベルンから1時間、インターラーケンから2時間となっており、他の都市に宿をとりながら、日帰り観光も可能な立地です。
 今回、私はインターラーケンから、その名もLuzern-Interlaken Expressというそのままの名前の急行に乗って、半日観光をしてそのままツェルマットへ移動をいたしました。こちらはスイストラベルパスで無料で乗車ができます。

ルツェルン・インターラーケン・エクスプレス 

 アクセスの良さ以外にも、魅力的な観光地がたくさんあるにも関わらず、コンパクトにまとまっており、非常に観光がしやすいというのも特徴です。
 主要観光地の中で一番西に位置するシュプロイヤー橋や一番北に位置する氷河公園などへも中央駅から徒歩10から15分程度で行くことができます。
 周辺にはヨーロッパ最古の登山鉄道のあるリギ山や、ピラトゥス、ティトゥリスなどの有名な山もありますので、宿泊した上で周辺の登山・トレッキングの拠点としても便利かと思います。
 私にはルツェルン出身のスイス人の友人がおり、今まで何度となく訪問しておりますが、その度に町の観光をしたり、登山したりと何度訪れても違った遊び方、魅力に溢れた町だと感じております。

②ヨーロッパ最古の木造橋、カペル橋と中世の香り漂う旧市街散策

 ルツェルン中央駅に到着し、正面出口から町へ出ると、右側にフィーアバルトシュテッター湖という長い名前の湖、左側に湖から流れ出るロイス川とそれに架かるカペル橋が目に入ります。
 駅を出てすぐに美しい風景が広がっているので、到着してすぐにワクワク感が上がっていく、というのもうれしいですよね!

・カペル橋(Kapellbruecke)


 ルツェルンのシンボルであり、市民の誇りでもある1333年建造のヨーロッパ最古の木造橋です。無料で入場が可能です。実はこの橋は1993年に大規模な火災が発生し、かなりの部分を消失してしまっております。
 現在は修復されて以前同様の姿を見ることができますが、内部の屋根部分などを見ると黒くこげた火災の跡が今でも痛々しく残っています。
 橋の上でガイドさんが火事の時の真っ赤に焼けている最中の橋の写真を見せながら説明している場面をよく見かけます。橋の火災の2年前にもルツェルン中央駅が大規模火災で被害を出しており、市民にとっては本当にショッキングな出来事だったとのことです。
 私の友人も当時は子供であったものの、橋の火災にショックを受けて泣いている両親や近所の人たちの姿を覚えている、と話しておりましたので、我々が想像できないくらい、地元の人々にとっては誇りであり象徴なのだと思います。

カペル橋
カペル橋

・シュプロイヤー橋(Spreuerbruecke)

 カペル橋を超えてロイス川の堰(Ndelwehr)を超えると1408年に完成したシュプロイヤー橋が見えてきます。一見カペル橋とシルエットが似ているものの、より質実剛健な落ち着いたイメージの橋になっています。無料で入場可能です。

ロイス川の堰
シュプロイヤー橋
シュプロイヤー橋

 橋を渡りながら、橋の上部に描かれた絵画などを見るとドキッとしてしまうかもしれません。絵画にはドクロや死神など不気味なモチーフがたくさん描かれており、おどろおどろしいイメージを持たれてしまうかもしれません。
 実は橋が完成した時代はヨーロッパ中で当時不治の病であったペスト(黒死病)が蔓延しており、ヨーロッパ全土の人口の1/3から半分近くが死亡されたと言われております。
 そのペストの大流行を描いた絵画が67個も飾られており、「死の舞踏」とも呼ばれております。

・瀕死のライオン像(Loewendenkmal)

 シュプロイヤー橋を旧市街側へ渡り、丘を登って、ムーゼック城壁(Museggmauer)沿いに東へ向かい、15分ほど歩いていくとレーヴェン広場(Loewenplatz)に出ます。
 周辺はデパートやカフェ、レストランなど色々なものがある繁華街となっていますので、この辺で小休憩をしても良いかもしれません。
 レーヴェン広場を左に進むとカペル橋と双璧をなすルツェルンの名所である瀕死のライオン(別名 ライオン記念碑)のある公園が見えてきます。無料で入場が可能です。
 これは1792年のフランス革命時に傭兵としてルイ16世やマリーアントワネットを護衛して亡くなった786名の兵士を悼んで作られた記念碑だそうです。

瀕死のライオン像


 今回は山間部で本当の氷河を見ているので行きませんでしたが、この瀕死のライオン像のある公園を過ぎて進んでいくとすぐに氷河の痕跡が見学できる氷河公園(Gletschergarten)があります。
 これで中央駅からルツェルンの主要観光地をぐるっと一周した形になります。

③まとめ

 スイスの観光ではどうしても自然景観が中心になってしまいますが、ルツェルンのような都市観光を途中で挟むと旅行のアクセントになるのではないでしょうか。
 今回あらためて訪問をして、フィーアバルトシュテッター湖とロイス川、カペル橋、旧市街の景色の融合が、はるか昔の中世の世界に迷い込んだかのような美しいルツェルンの町を形成しているのだなと感じました。
 個人的にも思い入れのあるルツェルンという町を一人でも多くの人が訪れて、楽しんでいただけるとうれしいです。