地中海に佇む古代ギリシャの光:アグリジェント「神殿の谷」を巡る旅

アグリジェント

・アグリジェント遺跡へのアクセス方法:パレルモからの日帰り旅を計画する
・世界遺産「神殿の谷」を歩く:古代ギリシャの息吹を感じる
・アグリジェントで味わう、海の幸の傑作「ウニのパスタ」

※2025年6月時点の情報
※1EUR(ユーロ)=約170円

 アグリジェント遺跡という名前を聞いて、ピンとくる日本人の方はあまりいないのではないでしょうか?
 実は世界遺産に登録されている、イタリア国内では非常に珍しい、保存状態の優れた古代ギリシャの遺跡なんです!シチリア旅行の定番スポットの一つでもあります!
 シチリア島の南部海岸沿いにあるアグリジェントですが、実はパレルモから日帰り旅行が可能な、アクセスの良い場所でもあります。
 パレルモから少し足を伸ばして、ギリシャ遺跡や海鮮料理などを堪能してみてはいかがでしょうか?

①アグリジェントへのアクセス方法

 アグリジェント(Agrigento)へはパレルモから、バスか電車で訪れることができます。バスと電車の料金は下記の通りです。

  • 電車…片道11.4EUR(約1,950円)、往復22.8EUR(約3,900円)
  • バス…片道8EUR(約1,350円)、往復14.8EUR(約2,500円)

 今回は運行の頻度が多く、海岸沿いの車窓も楽しめる電車を選択したのですが、まずはバスについてのご紹介をさせていただきます。
 パレルモ中央駅の両脇には2つのバスターミナルがあります。パレルモのバスターミナルはあまり、看板がなかったり、閑散としていたり、ほとんどのバス会社がチケット売り場を持っていなかったりと若干わかりづらいです。
 アグリジェント行きはパレルモ中央駅を背に右側のバスターミナルになりますが、ほとんどバスターミナルの体裁が整っていなく、ターミナル的なものもなく、停留所があるだけで、チケットカウンターなどもなく、人もほとんどいません。
 アグリジェント行きは2社で運行しているようですが、CAL社よりCuffaro社の方が若干ではあ利マスが、便数が多いようです。支払いは車内で現金かクレジットカードが可能とのことです。
※パレルモの記事と一部情報が重複してます

CAL社のバス停留所
Cuffaro社のバス停留所

 次にパレルモ中央駅での電車の乗り方について、ご案内いたします。乗車券の打刻が必要ですが、若干トリッキーなので要注意です。打刻機に乗車券を入れて、左側にスライドさせると打刻される仕組みです。
 乗車券はイタリア本土同様に自動券売機で購入可能で、クレジットカードも使えます。パレルモ中央駅からアグリジェント中央駅までは2時間ほどで到着します。
 なお、イタリアの電車共通の注意点かもしれないのですが、今回パレルモ中央駅から乗車する際に、何のアナウンスもなく、ひっそりと15分遅れでの出発に変更になりました。今度はプラットフォームで遅れた電車を待っていると、何のアナウンスもなく、ひっそりと出発のプラットフォームが変更になっていました。
 なぜか現地人が無言で移動を始めたので、調べてみるとプラットフォームの変更が判明しました!
 こんなことが日常的にイタリアでは発生しますので、駅に到着後も電車に乗り込んで出発できるまでは油断しないよう気をつけましょう!

パレルモ中央駅の打刻機
アグリジェント行き電車 電光掲示板
パレルモ発 アグリジェント行き 普通列車

 アグリジェント中央駅は少し変わっており、地下1階にプラットフォームがあります。到着したあと、地上階に上がって外に出る仕組みです。
 地下1階のプラットフォーム横に無料のトイレもあります。
 駅の外に出ると若干広くて何もない広場に出るのですが、その広場の出口が道路に面しており、そこにアグリジェント遺跡「神殿の谷」行きのバスの停留所があります。

アグリジェント中央駅 プラットフォーム
アグリジェント中央駅 プラットフォーム
アグリジェント中央駅 正面入り口
アグリジェント中央駅 構内
アグリジェント中央駅前のバス停

 駅前のバス停から1、2、3番バスで2つある出入口のうちの1つ、ポルタ・クイント(Porta V)に10分程度で到着します。もう1つの出入り口にはバスで行くことができませんので、バス利用の場合はこのポルタ・クイントが唯一の入口になります。
 乗車料金は1.2EUR(約200円)でビザカードでタッチ決済が可能です。

アグリジェント遺跡 ポルタ・クイントのバス停留所

②アグリジェント遺跡 神殿の谷(Valle dei Templi)の観光詳細

 

 ポルタ・クイントのバス停留所を降りると目の前に遺跡の入り口があります。
 入り口近くにはカフェやお土産物屋があり、ライスコロッケのアランチーニやリコッタチーズを使ったスイーツのカンノーロなどのシチリアB級グルメなどを食べることができますので、遺跡見学前後の休憩に利用してもよろしいかもしれません。
 お土産屋とカフェを過ぎるとチケットオフィスの建物があり、中に入ってチケットを購入します。最新のガイドブックには入場料が12EUR(約2,050円)と記載されていましたが、実際には17EUR(約2,900円)に値上げされていました。

カンノーロ
アランチーニ
チケットオフィスに掲示されている最新の料金表

 遺跡の道は整備されており、入口のポルタ・クイントからもう一方の出入口まで緩い上り坂で2kmの行程となっています。
 その出口にはバス停はないのですが、また下のバス停のある出入り口まで2km戻るのが面倒な場合、出口付近に待機しているタクシーに乗ると早いかと思います。
 実際に今回利用しましたが、アグリジェント中央駅まで15EUR(約2,550円)でした。健脚な方であれば徒歩で駅まで帰ることも可能です。約3kmの行程となり、半分以上は上り坂となっております。

 神殿の谷の観光は基本的にはポルタ・クイント側の入り口から道なりに逆側の出入り口に、真っ直ぐ進んでいく形になります。
 あまり影になる場所もないため、日傘やお水を持参するなど、暑い時期に観光をする場合は要注意です。

 紀元前5世紀の神殿で、カルタゴ軍に破壊されてしまった、ディオスクロイ(カストール・ポルックス)神殿(Tempio dei Dioscuri, Tempio di Castore e Polluce)、紀元前520年に建設されたアグリジェント遺跡で最古のエルコレ(ヘラクレス)神殿(Tempio di Ercole)を見ながら進んでいくと、前方に観光の目玉であるコンコルディア神殿が見えてきます。

ディオスクロイ神殿
ディオスクロイ神殿
エルコレ神殿

 コンコルディア神殿(Tempio della Concordia)は紀元前450〜440年に建造された神殿で、シチリア最大規模のものとなっています。
 非常に大きいため、遠くからも見え、保存状態も非常に良い神殿です。ギリシア神殿としては、一番有名なアテネのパルテノン神殿についで完璧な状態のものであると言われています。

コンコルディア神殿
コンコルディア神殿
コンコルディア神殿
コンコルディア神殿

 逆側の出口近くにあり、一つだけ他の遺跡から離れた東端の場所にあるのが、ジュノーネ・ラチニア(ヘラ)神殿(Tempio di Giunone Lacinia)です。
 保存状態の良いコンコルディア神殿の迫力ももちろんすごいのですが、個人的には適度に朽ちたヘラ神殿が一番趣きがあって、はるか古代に思いをふけることができるお気に入りの遺跡です。

ジュノーネ・ラチニア(ヘラ)神殿
ジュノーネ・ラチニア(ヘラ)神殿

③日本人大好き?シチリア名物のウニパスタ発見!

 このシチリア島には、日本人にだけとても人気が高いイタリア料理が存在します。シチリア周辺ではウニが漁れるのですが、この新鮮なウニを使ったウニパスタなるものが食べられます!
 パレルモ市内などでも食べられるところがあるのですが、このアグリジェントにもウニパスタを出している店を見つけました!
 パレルモ中央駅からバスターミナル方面の坂道を5分ほど登った右側に「Pititto Ristorante」というレストランがあります。アグリジェントのレストランは、ほとんどが13時からオープンだったのですが、こちらのお店が唯一12時から営業していたため、偶然入りました。
 ウニパスタは22EUR(約3,750円)で、若干高く感じる方もいるかもしれませんが、基本的にはどこで食べても、これくらい、もしくはこれ以上の値段になることが多いです。
 他にもイノシシ肉のパスタなどもいただきました。特にクセがなく、おいしかったです!
 ちょっと変わり種のシチリア料理ではありますが、機会がありましたら、ぜひお試しください!

ウニパスタ
イノシシ肉のパスタ

④まとめ

 イタリア旅行と言ってイメージする中に、今回紹介したアグリジェント遺跡のような古代ギリシャ遺跡を思い浮かべる人は少数派かもしれません。
 でもせっかくシチリアに来たのであれば、パルテノン神殿の次に保存状態が良いと言われる世界遺産を見てみるのもよろしいのではないでしょうか。
 イタリア旅行中の他の観光地とは、また違った経験になるため、ちょっとした旅行のスパイスとなること間違いなしです!
 エメラルドブルーの地中海とシチリアレモンの畑が続く車窓を眺めながらの移動自体も、一つの観光として楽しむことができると思います!