「地中海の十字路」パレルモ:アラブとアフリカとイタリアが織りなす、歴史と美食の街

イタリア

・シチリア島観光の拠点にいかが?島最大の都市、州都パレルモ
・「アラブ・ノルマン様式」が物語る、パレルモの複雑な歴史
・まるで北アフリカ?異国情緒あふれる旧市街の歩き方
・とてもおいしいグラニータ!日本で食べられない不思議な味も!

※2025年6月時点の情報
※1EUR(ユーロ)=約170円

 シチリア、いい響きですよね。シチリアレモン、温暖な気候、ビーチリゾート、ゴッドファーザー。色々なイメージを持つ憧れの島、という感じではないでしょうか?
 シチリア島は今までイタリア本土とは違う歴史の変遷を経ており、地理的にもアラブ・アフリカに近いことから、イタリア本土とは違った雰囲気をまとった土地となっています。
 今回はそんなシチリア島の属するシチリア州の州都、パレルモについてご紹介をさせていただきます!

①シチリア島、どうやって行く?拠点はどこにする?

 シチリアは島なので、飛行機や船に乗って行くというイメージが強いのではないでしょうか?実は、鉄道やバスでもシチリア島へは行くことができます。
 本土のレッジョ・ディ・カラブリーアなどからバスや電車ごとフェリーに乗って渡航してくることも可能です。その場合はメッシーナから上陸するようなかたちになります。ミラノやローマから夜行列車に乗って、やってくることもできます。
 ドーバー海峡を挟んだイギリスとフランスも同じ手段で渡航が可能なのですが、珍しい体験なので、バスや電車を選択しても面白いかもしれません。
 ただ、時間的制約など現実的に考えるとオススメとしては飛行機ではないでしょうか。以前、別記事にてご紹介したライアンエアなどのLCCを利用すれば、路線や購入のタイミングにもよりますが、他の交通機関よりも安く、圧倒的に速くシチリアに到着することが可能です。
 イタリア国内線としてシチリア渡航時に利用したライアンエアについては、下記リンク先の記事をご覧ください。

こちらもご覧ください。

 飛行機で来る場合、シチリア島にはパレルモとカターニャに空港があります。空港の規模としてはカターニャの方が大きく便数も多いのですが、パレルモの方が町自体も見どころが多く、アグリジェントなどの遺跡などへ行けるため、観光拠点としてはパレルモの方が断然おすすめです!
 今回はピサ空港からライアンエアに乗ってパレルモにやってきました。空港から町の中心へは、バスが6EUR(約1,000円)、電車が6.8EUR(約1,150円)、乗合タクシーが8EUR(約1,350円)で、どの交通手段でも1時間ほどで到着となります。
 その中で一番時間が読める&宿がパレルモ中央駅に近いため、電車を今回は利用しました。電車はチケットを購入しなくても、ビザカードでタッチして乗車が可能です。
 ただし、乗車前の空港駅と降車後のパレルモ中央駅でタッチをしないと200EURの罰金と最大区間の乗車料金がかかるので、注意が必要です!

パレルモ空港駅
ビザカードのタッチ&乗車券の打刻機
パレルモ中央駅行きの電車
パレルモ中央駅
パレルモ中央駅
パレルモ中央駅

 ちなみにパレルモ中央駅の両脇には2つのバスターミナルがあります。後日、パレルモからアグリジェント遺跡に行くのに、バスと電車どちらで行こうか迷っており、その際にバスターミナルについても調べましたので、その情報も共有させていただきます。
 パレルモのバスターミナルは、あまり看板がなかったり、閑散としていたり、ほとんどのバス会社がチケット売り場を持っていなかったりと若干わかりづらいです。
 パレルモ中央駅の正面入り口を背にすると、左側がパレルモ空港行きやミラノやローマなど長距離線も発着する比較的きれいな新しいバスターミナルになっています。
 逆にアグリジェント行きは右側になりますが、こちらについては、ほとんどバスターミナルの体裁が整っていなく、ターミナル的なものもなく、停留所があるだけで、チケットカウンターなどもなく、人もほとんどいませんでした。
 アグリジェント行きは2社で運行しているようですが、CAL社よりCuffaro社の方が若干ではありますが、便数が多いようです。支払いは車内で現金かクレジットカードが可能とのことです。
 参考までにアグリジェントへの電車とバスの料金を記載しておきます。

  • 電車…片道11.4EUR(約1,950円)、往復22.8EUR(約3,900円)
  • バス…片道8EUR(約1,350円)、往復14.8EUR(約2,500円)
CAL社 アグリジェント行き バス停留所
Cuffaro社 アグリジェント行き バス停留所

②アラブとアフリカの雰囲気を感じる!異国情緒あふれる世界遺産都市【パレルモ】

 町を歩いていると、イタリア本土と比べるとアラブ系やアフリカ系の人たちが多いことに気が付きます。なんとなく街の雰囲気も海を隔てて近くにある、チュニジアなどに似ているように感じました。
 シチリアは地政学的に地中海の十字路と言われており、非常に重要な要衝のため、ギリシア人、ビザンチン人、アラブ人、ノルマン人からの支配を受けていた歴史があり、アフリカからも近いため、移民も多く、このようなエスニックな雰囲気の都市になっております。
 そんなパレルモですが、やはり観光地もイスラムとノルマンの影響を受けた、イタリア本土ではなかなか見られない様式の建物なども多く、非常に楽しい町です!町自体もユネスコの世界遺産に登録をされています。
 パレルモ中央駅を起点にノルマン王宮、カテドラーレやペッリー二広場を散歩で一周すると2時間弱かかります。もし中も見学すると半日程度必要かと思います。主要な観光地について、簡単にご紹介いたします。

・ノルマン王宮(Palazzo dei Normanni)

 ノルマン王宮と前にある公園は非常にきれいですが、少し坂を下がった場所にある、隣り合った下町の地域はよく言うと異国情緒があり、悪く言うと軽くスラムっぽい雰囲気があります。
 日中は特に問題ないと思いますが、電灯なども少なめのため、夜は注意が必要だと思います。日中はヘルメットをかぶらず、小学生の子供たちがバイクを飛ばしています。
 こちらは11世紀にアラブ人が建築した城砦に12世紀にノルマン人が増築したため、アラブ・ノルマン様式という珍しい、シチリア的な建築様式になっています。
 ノルマン王宮は19EUR(約3,200円)で入場ができ、パラティーノ礼拝堂(Cappella Palatina)の観光もできます。

ノルマン王宮
パラティーノ礼拝堂
ヌオーヴォ門

・カテドラーレ(Cattedrale)

 ノルマン王宮を過ぎて目抜通りのヴィットーリオ・エマヌエーレ大通り(Corso Vittorio Emanuele Ⅱ)を300mほど進むと左手に立派なカテドラーレが見えてきます。
 こちらもシチリアン・ノルマン様式という珍しい建築様式で建てられた12世紀末の建物です。入場料は12EUR(約2,050円)となります。個人的にはこのカテドラーレは外観の圧倒的な存在感が一番の見どころだと思いますので、時間がない場合は外観だけでも楽しんでいただければと思います。

カテドラーレ

・クアットロ・カンティ(Quattro Canti)

 ヴィットーリオ・エマヌエーレ大通りをカテドラーレから800mほど進むと「四つ辻」という意味のクアットロ・カンティという交差点に到着します。
 立派な彫刻ももちろん素晴らしいのですが、カテドラーレからクアットロ・カンティまでヴィットーリオ・エマヌエーレ大通り自体が観光地なのではないか、と思っています。
 シチリアっぽい、ゴッドファーザーをモチーフにしたお土産やシチリア名物のスイーツである、シャリシャリの氷ジュースのグラニータや生地にリコッタチーズをこれでもか!というくらいつめたカンノーロ、ブリオッシュにジェラートをつめたブリオッシュ・コン・ジェラートなど、たくさんの名物に出会えます。
 中でも個人的にはぜひグラニータを試してほしいと思います。グラニータはイタリア本土でも至る所で売っていますが、同じスイーツとは思えないくらい完成度が違います。
 一番の定番はシチリアレモン味のグラニータですが、おすすめ&本土でなかなか出会えないのは、シチリア名物のアーモンド味やサボテンの実味などです。

クアットロ・カンティ
クアットロ・カンティ

③まとめ

 今回はシチリアの玄関口であり、最大の都市であり、交通の要衝でもあるパレルモを紹介いたしました。
 シチリア島内での観光の拠点としてももちろん非常に便利なのですが、なんといってもヴィットーリオ・エマヌエーレ大通りの散策がとても楽しいので、ぜひただ宿泊するだけでなく、旧市街の散策もしていただければと思います。
 なお、人種が本土と違うという点もイタリアにいるにもかかわらず、何かエスニックな雰囲気があるところにも魅力があるのだと思います!