洋上のピラミッド・利島へ! 富士山型の宮塚山の絶景&登山、島の素顔に触れる旅

アジア

・東京から140km!海に浮かぶ「富士山」利島(としま)
・島のシンボル・宮塚山登山と山廻りの風習について
・まるで時が止まったよう… 伊豆諸島北部で最も素朴な島の暮らし

※2025年10月時点の情報

 

 伊豆諸島北部5島の中で2番目に東京から近い場所にある利島。伊豆諸島の島の中でも知名度が高いとはいえず、知らない方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
 この島は、東京から140kmに位置し、シンボルである宮塚山がそのまま島の形となっており、ピラミッドや富士山のようにきれいな三角形となっております。そのため、昔は航海中の目印としても利用されていたと言われています。
 利島は断崖絶壁で島が囲まれています。そのため、港が1つだけとなっており、他の島と比べると船の着岸率が低く、船が欠航になったり、当日になっても着岸できるかが確定しないことが多々起こります。
 そんな利島ですが、人口は約300人と非常に少なく、観光資源もたくさんあるわけではありません。観光については、島のシンボルである宮塚山が中心となります。
 むしろ、であるからこそ、離島の素朴な生活風景を今でも見ることができる貴重な島でもあるといえます。
 今回は、”洋上のピラミッド”、”伊豆諸島の富士山”利島について、ご紹介をしていければと思います!

①利島の港と集落、買い物、食事情報について

 11:55に新島発のさるびあ丸で出発し、12:45に利島に到着しました。利島は浜辺が人工のもの1つしかなく、断崖絶壁で切り立った島となっており、港も1つしかないため、他の島に比べて船の欠航の確率が高い島になっています。
 断崖絶壁のため、島には神津島から運んだ白砂で作った、人口の非常に小さな砂浜が1つあるだけで、夏しか利用することができません。
 他の島は海水浴場などが観光資源の大きな1つとなっていますが、その辺の事情も利島については違っております。
 以上のような厳しい自然環境のため、離島は元々輸送コストなどもかかるため、物価は高い傾向にありますが、利島の物価は他の伊豆諸島の島と比べても非常に高く、お店やレストランなどもあまりありません。
 素泊まりの場合は、事前に少し簡単な食べるものとかを用意しておくとよいです。
 島で唯一予約が不要な食事処は、集落の1番上の通りにある韓国料理屋の「食堂HARU」という韓国人のおばさまがやっているお店のみです。私はコムタンスープベースの辛いラーメンを注文しましたが、おいしい自家製キムチも食べ放題です!

利島 宮塚山の形がそのまま島の形になっています。
利島港
客船ターミナル
客船ターミナル内の待合室
食堂HARU
食堂HARUのメニュー
コムタンスープベースの辛いラーメン

 利島は、山の形そのものが島の形となっている感じで、基本的な移動手段は徒歩となります。バスなどはもともと走っていませんし、レンタサイクルもありません。
 伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島の伊豆諸島北部の5島の中では一番秘境感があるかもしれません。
 村自体もかなりの急斜面に家が建てられており、こぢんまりはしているものの、村歩きは結構疲れるかもしれません。集落は島の北岸の斜面に集中しており、それ以外の場所には民家は基本的にはありません。
 スーパーマーケットと呼べるものもなく、唯一買い物ができる場所といえば、利島農業協同組合です。こちらも少し高台に位置した場所にあります。

唯一の売店である利島農業協同組合

②利島と言ったら宮塚山登山と伝統文化の山廻り!

 そのまま島の形となっている宮塚山は、山そのものが御神体として、島民に崇拝されてきました。観光としても、その宮塚山の登山がメインとなるのですが、利島には正月三が日に行われる伝統的な風習の「山廻り」というものがあります。
 宮塚山のふもとには3つの神社があり、その3つの神社を反時計回りに「一番神様」、「二番神様」、「3番神様」の順に参拝していくという風習が山廻りです。
 今回は、利島周遊道路で島を反時計回りで1周しながら、山廻りと同じく3つの神社を回り、宮塚山に登山する観光ルートをご紹介していきたいと思います!
 大体2時間半から3時間ほどで周ることができます。

 神社は島の南側に2つ、東側に1つあり、回る順に1番神様、2番神様、3番神様と呼ばれています。
 1番神様は阿豆佐和気命神社本宮(あずさわけのみことじんじゃほんぐう)、2番神様は大山小山神社(おおやまこやまじんじゃ)、3番神様は下上神社(おりのぼりじんじゃ)をそれぞれ指します。
 集落からの出発はまず集落の1番上の通りにある韓国料理屋の食堂HARUを正面に見て右側に50mほど進むと右手に石段の山道があるので、ここを登っていくと近道となります。15分ほど上がっていくと道路に出ますので、そこから右手に進んでいきます。するとすぐに三叉路で利島一周道路にぶつかりますので、その後は道なりにぐるっと島の南まで15分くらい歩きます。

集落からの近道になる石段の入り口

 しばらく進むと「南ヶ山園地」という看板が出てくるので、その三叉路を右側に進んでください。道なりに進んでいくと1番神様の阿豆佐和気命神社本宮が左手にあります。鳥居を潜ってほんの少し石段を登ると小さい本堂があります。他の2つの神社も基本的に同じ作りになっています。

南ヶ山園地の看板
阿豆佐和気命神社本宮の案内板
阿豆佐和気命神社本宮
阿豆佐和気命神社本宮

 その後、道なりに進んでいくとすぐに南ヶ山園地の展望台に到着します。展望台からは右手に新島と神津島、天気が良ければ左手に三宅島と御蔵島が見えます。残念ながら式根島は新島の影に隠れて見えません。

南ヶ山園地
南ヶ山園地展望台から望む新島と神津島

 次は2番神様へ行くのですが、村で配布しているウォーキングマップですと南ヶ山園地の右手から神社へのショートカットができる山道を推奨しているのですが、道が非常に狭く、大きなクモとクモの巣がたくさんあります。
 そのため、遠回りですが、一旦行けるところまでアスファルトの道で進んでいく方がいいと思います。
 5分ほどアスファルトの道を進むと、「二番神社 初心者コース」という看板が見えるので、そこから左手の山道に入ると100mほどで2番神社の大山小山神社に到着します。
 参拝後に再度同じ道を戻り、アスファルトの道を南登山口まで10分ほど進みます。途中「2番神社 上級者コース」という看板が出てきますが、かなり急斜面で地面は土で滑りやすいので、ここからいくのはオススメしません。

南ヶ山園地からのショートカットの山道
二番神社 初心者コースの看板
大山小山神社の案内板
大山小山神社
大山小山神社
二番神社 上級者コースの看板

 二番神社を過ぎると宮塚山の南登山口から、とうとう登山を開始です!基本的には土の道とところどころ階段になっているところを登っていくのですが、段が若干高い以外に大変な場所はないです。
 1km強を45分くらいかけて上がっていくと頂上の三叉路に出ます。右側は山頂行き、左側は展望台行きで、円周上に道ができているので、どちらから行っても問題ありませんが、おすすめは右手の山頂に行って、そのまま円周を降りて進んで、東登山口行きの坂を通り過ぎていくと展望台にも簡単に行けるので楽です。
 展望台からは利島村の集落と前方に伊豆大島、左手に伊豆半島が見えます。伊豆諸島北部の展望台はなんとなく似た造りになっており、同じデザインの木造の建物を階段で登っていく感じになっています。

宮塚山の南登山口
宮塚山の登山道案内板
登山道
宮塚山の頂上
頂上の展望台
頂上展望台から望む利島港と集落
頂上展望台から望む伊豆大島
頂上展望台から望む伊豆半島

 最後に東登山口を目指して15分ほど山を降りていくと、再度利島一周道路に出ます。

東登山口の入り口

 道に出たら左に道なりに進んでいくとウスイゴウ園地に出ます。ウスイゴウ園地を抜けてU字カーブを4回ほど進んでいくと最後の3番神様、下上神社に到着します。
 ただし、この3番神社が曲者で、村でもらえる利島ウォーキングマップに書いてある場所も若干間違っており、Google mapを見てもよく分からず、看板もありません…
 若干探しましたが、結論としてはU字カーブの最後の4つ目のカーブする部分に少し駐車スペース的なものがある場所があり、その左横から森に入れる山道があります。
 そこを少し進むと右手に下上神社が見えます。
そして本堂までの石段が1番神様や2番神様と比べると3倍くらい長いです…
 探しづらく、石段が長い、3番神様、要注意です!見学後は利島一周道路を道なりに進むと最初の集落から登った石段の場所に戻り、無事、利島1周完了となります!

下上神社の入り口の駐車スペース
下上神社へ続く道の入り口
下上神社の案内板
下上神社
下上神社
下上神社

③利島は登山だけじゃない!集落&周辺観光の案内

 今度は利島村の集落周辺の観光をします。実際に歩いたルートは下記の通りです。だいたい2〜3時間ほどで回ることができます。

  • 長久寺
  • 利島村郷土資料館
  • 八幡神社
  • はしけと海の歴史広場
  • カケンマ浜
  • 大石山遺跡の丘
  • 阿豆佐和気命神社

 個人的に特に印象に残ったのは、利島村郷土資料館とカケンマ浜です。
 郷土資料館は利島村小中学校を超えて、三叉路を左に進むと左手に見えてきます。8:30から開いており、入館は無料です。
 中はこじんまりしているのですが、タブレットで見れるスライドショーを見て、利島島の人々の今までの歴史などがざっと学ぶことができます!

長久寺
利島村郷土資料館
利島村郷土資料館
利島村郷土資料館
八幡神社
八幡神社
はしけと海の歴史広場
はしけと海の歴史広場

 もう1つ印象に残っているカケンマ浜ですが、正直、パッと見ても何も感じない、とても小さな砂浜です。
 ただ、この砂浜は切り立った断崖で囲まれた利島で唯一の砂浜で、神津島から運ばれた白砂を利用して、人口で作られた、夏場だけ開放されている砂浜です。
 見た目はなんでもない小さな砂浜ですが、利島の環境や生活を象徴するような場所であるように感じました。

カケンマ浜
大石山遺跡の丘
大石山遺跡の丘
大石山遺跡の丘
大石山遺跡の丘
大石山遺跡の丘の案内板
阿豆佐和気命神社
阿豆佐和気命神社

④まとめ

 今回は、伊豆諸島北部5島の中でも1番小さく、1番自然環境が厳しい利島を紹介いたしました。利島といえば、やはりなんといっても宮塚山の登山ですが、そんなにきついルートではないため、老若男女どんな方でも楽しむことができると思います!
 最後に、実際に訪れて感じた感想を箇条書きしていきたいと思います!

  • 宮塚山が富士山みたいでカッコいい!
  • 島を1周する軽いハイキングが気持ちいい!
  • 大きなクモとクモの巣が一番多い!
  • 物価が若干高い!スーパー的なところは1ヶ所のみ
  • 唯一予約なしで入れる韓国料理の食事処「食堂HARU」おいしい!
  • 集落は急斜面が多い!
  • 伊豆諸島の北の5島の中で1番素朴な原風景が残っている!